先日の新聞(日経)に「飽食の日本人、本当は栄養不足」という記事がありました。特にたんぱく質不足は成人男性で目立ち、そして食物繊維は18~49歳の男性と18~29歳の女性の6割以上が不足とのことです。より深刻なのがカルシウムと鉄分の不足で、日本人のカルシウム摂取量は米国人の半分以下とのことです。栄養が足りているかどうか手軽に知る方法として、「肉・魚・卵・乳製品・大豆・緑黄色野菜・果物・芋・海藻・油」の10品目中、1日に何品目食べたかチェックすることを勧めています。理想は1日8品目ですが、実際は5~6品目に止まっているのが実態のようです。
■■最近想ったこと・注目したこと:
■米国大統領選挙の現状と今後について:
米国大統領選挙がえらいことになってきました。7月13日の暗殺未遂事件で男を上げたトランプ前大統領に流れが傾く中、7月15~18日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会で、トランプ氏が正式に同党の大統領候補に指名されました。その熱狂の余韻が冷めやらぬ7月21日、バイデン大統領が次期大統領選から撤退し、後任候補としてカマラ・ハリス副大統領を推薦することを表明しました。これはコーナーに追い詰められたバイデン氏が放った強烈なカウンターパンチになりそうです。決断が遅かったというような報道もありますが、私は共和党大会の前でなく、終わった直後の絶妙なタイミングだったと思います。これにより民主党の候補をバイデン氏に絞り込んでいたトランプ陣営は「はしごを外された形」となり、根本的に戦術を見直す必要に迫られます。しかも今までのような個人攻撃は通用せず、その上やっかいなことにハリス氏は、バイデン大統領に欠けているものを持ち合わせています。例えば若さ(59歳)、弁舌のうまさ、女性であること等です。なお、同氏は元職がサンフランシスコ市郡地方検事であったことから、現在数々の罪状で係争中のトランプ氏との選挙戦を、「検事対犯罪者」と揶揄する向きもあります。トランプ氏にとってバイデン氏より明らかに強敵です。一方、黒人・アジア系という出自に対する根強い偏見もあります。しかし今米国に必要なのは年寄り同士のいがみ合いや罵りあいではなく、分断された社会を和合させることです。そのためには苦虫を潰したような顔ではなく癒し系の明るい笑顔が必要です。その点でハリス氏は打ってつけで、民主党支持者のみならず浮動票を取り込むことが期待されます。それを示すものとして、バイデン氏が撤退を表明してから24時間以内の献金では過去最高の8100万ドル(約127億円)を集めたとされています。これまでハリス氏はよき二番手(副大統領)に徹し、存在感を抑制気味でしたが、これからは思う存分本領を発揮するでしょう。
なお、今後、誰を副大統領候補として選ぶかと、現政権の政策(経済・外交)への不満をどう修正し、新機軸を打ち出せるかが選挙戦を左右するキーポイントになります。
振り返りますと、トランプ氏が2016年11月投票の大統領選挙で戦った際の民主党候補は、ヒラリー・クリントン氏(クリントン元大統領夫人)でした。私はたまたまその年の5月にワシントンを訪れる機会がありました。訪問前は「米国史上初の女性大統領実現か」で選挙戦が盛り上っていると思っていました。ところが現地の女性から聞いたのは「トランプは嫌いだが、クリントンはもっと嫌いだ」という声でした。因みに、当時現職だったオバマ氏が1期目の選挙戦(2008年11月)を戦った時は、「黒人初の大統領」ということで全国的にブーム化しました。ところが2016年の選挙ではそういった熱気を感じませんでした。クリントン氏は敗北宣言で「ガラスの天井を破れなかった」と言いましたが、結局は候補者の資質が問われたのではないかと思いました。
なお、ハリス氏はトランプ氏に対する2人目の女性チャレンジャーです。いや、共和党内の大統領候補指名予備選で戦ったヘイリー元国連大使を加えると3人目です。
今回はどういう結末になるか。大いなる期待を持って本年11月6日投票日の選挙戦を見守りたいと思います。
■人手不足問題とエッセンシャルワーカーについて:
今、殆どの業界で人手不足が顕著になっています。どんどん海外からインバウンド客がやってきますが、飛行場ではグランドハンドリング要員が足りないため飛行機の便数を増やせないとか、観光地では宿泊施設が従業員不足で受け入れを制限しているといった影響が出ています。また、外国人には別料金を課す動きも出ています。
若年人口は減少傾向を辿っており、高齢者や女性の労働力も社会保険制度を改革しない限りほぼ限界です。外国人の受け入れも増えていますが十分ではありません。
私は前職時代、トラック貨物輸送業界に携わりましたが、同業界は3K―「きつい・汚い・危険」、それに+2K―「休日少ない・給料安い」の5Kとまで言われました。長時間労働による「過労死」も問題視されています。これでは男女を問わず若年層の参入は望めません。そのため労働条件・労働環境の改善が必要であり、その一つが「2024年問題」で取り上げられている「労働時間の上限規制」です。一方、諸コストの上昇とコンプライアンス(法令順守)に対応しつつ、賃金を世間並みに引き上げるには当然原資が要ります。それが「適正運賃」の収受です。このコストを価格転嫁するメカニズムがスムーズにいかない背景に様々な問題が存在します。その一つが我が国のほとんどの業界に共通することですが、多数の中小零細企業がひしめき合う過当競争体質と、縦割りの多層(下請け)構造です。こういった現状を改善するには政府レベルでも、補助金で対応といった一時しのぎではなく、業界の実態を踏まえながらある程度の規模に再編・統合することにより、労働条件・価格交渉力を高める政策、つまり構造改革が必要なのです。さもなければ生産性の向上は望めぬ上に、人材確保は難しく、更にDX・AIによる省力化やアセットへ投資する資金力もなく、結果として舞台から消えることになります。既に運輸業界の倒産件数が前年同期比倍増の勢いであることがそれを示しています。
なお、人手不足対策として労働環境の改善が喫緊の課題です。そのため産廃物処理業界は従来の3Kに+1K(臭い)の4Kといわれる現場に先端技術を導入し、「新3K」(きれい・快適・簡単)に変えるとしています。そしてゼネコン業界も「新4K」、即ち(給与が良い・休暇がとれる・希望がもてる・かっこいい)への転換を目指しています。また作業環境の改善・生産性向上にはDX・AIロボットの積極的な導入による省力化・効率化と同時に、安全の確保が必要です。
最後に、子どもさんも含めお願いしたいのは、「トラックや宅配便のドライバー、それにゴミ収集といった様々なエッセンシャルワーカー(ライフラインを支える人達)と出会ったら、是非、『いつもありがとう!』」と声を掛けてあげて欲しい」ということです。これを私は前職時代に様々な機会でお願いしました。ちょっとしたことですが、この一言で多くのワーカーが「やりがい」を感じ、「励み」になるのです。私たちの日常生活はこういった人たちによって支えられていることを忘れてはなりません。是非、よろしくお願いします。