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2024年08月23日

「ちょっと気になる記事・話題」(149)

瞬く間にお盆も過ぎ、日中はまだ各地で熱中症アラームが発令されるなど猛暑が続いていますが、朝夕は秋の気配を感じます。これからは「秋の日はつるべ落とし」といわれるように、日ごとに日照時間が短くなっていくでしょう。
なお、私はお盆休みを利用して「キツネ踊り」で有名な、大分県姫島伝統の盆踊りを観に行ってきました。この踊りは鎌倉時代から伝わり、国選択民族文化財に指定されています。踊り手は12歳以下の子どもに限られ、真っ白いおしろいを塗った化粧が特徴で、ちょうちんを下げた傘を持ちながら「オラサ、オラサ」の掛け声で登場すると、観衆から大きな拍手が送られました。キツネ踊りのほか島の各地の踊り手が、アヤ踊りや猿丸太夫等、振り付けや衣装に趣向を凝らした創作踊りを約2時間たっぷり鑑賞し、正に日本再発見の旅でした。 因みに姫島へはJR小倉駅からJR日豊本線に乗り約45分、宇佐駅で降りた後、宇佐港からフェリーで約20分です。姫島は車エビの養殖地としても有名で、ビールを片手にタップリ味わってきました。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■とても先進国とはいえない日本の実情:
◎日本の特異性が我が国の発展を妨げている:
経済力・軍事力が世界1位の米国で、初の女性大統領誕生の可能性が現実になりつつあります。ジェンダーギャップのみならず人種差別の壁を乗り越えてのことです。この「多様性を受け容れる」許容性が米国の強さの一つです。一方、米国は人種のるつぼと称せられる多民族国家に対し、我が国は外国人が増えたとはいえ、全人口の3%弱(昨年末で約332万人)でほぼ単一民族です。そのためか異質なものを受け容れるのが不得手で、例えば海外からの日本国内への投資は極めて低い水準に止まっています。そして男女格差が国際的に見て大きいのも特徴です。こういった日本国・日本人の持つ特異性が我が国の発展を阻害しているように思います。逆にいえば今後我が国が発展を目指すには、「日本の常識は世界の非常識」と揶揄される異質性を、グローバル・スタンダードに添って改革・改善していくことが不可欠です。
◎我が国のジェンダーギャップ(男女格差指数)総合指数は146ヵ国中118位:
本年6月12日、世界経済フォーラム(WEF)が、世界各国の男女平等の度合いを数値化した「ジェンダーギャップ指数」2024年版を発表しました。今回の調査では、男女が完全に平等な状態を100%とした場合の全世界の達成率は68.5%で、昨年度より0.1ポイントの改善が見られたとしています。この指数は「経済」、「教育」、「健康」、「政治」の4つの分野でのデータからなり、日本は国別のランキングで対象146ヵ国中118位(66.3%)と、前年の125位から7番順位を上げました。しかし先進7ヵ国(G7)では依然として最下位です。}
◎政治への女性参画:
男女の立候補者数が均等になることを目指す、「政治分野における男女共同参画推進法」の施行から今年5月で丸6年。2021年の衆議院選挙では候補者の17%、当選者で9%と前回(2017年)を下回りました。しかし昨年春の統一地方選挙では、候補者に占める女性の割合も当選者の割合も前回(2019年)を上回りました。地方議会の方が前進しているといえます。なお、女性候補者の8割が男性候補者との違いとして「家事、育児、介護といった家庭生活との両立が難しい」としています。そして男性と比較し、女性は「地盤、看板、かばん」を有しないケースが多く、不利な立場にあります。また、8割がハラスメントを受けたとしています(男性は47%)。
◎東証プライム上場企業の69社で未だ女性役員ゼロ:
日経の集計によると、本年3月末現在、東証プライム市場に上場する1628社のうち69社(4.2%)で女性役員が不在とのことです。政府が女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針2023)で掲げた「女性役員ゼロ企業0%」の目標期限は2025年です。また同方針では「30年までに女性役員比率30%以上」を掲げています。そして同年の12月に閣議決定として「2025年までに女性役員比率19%」を中間目標と設定しました。ガバナンスの面からは社外取締役が有効ですが、企業文化の改革や業績向上には社内人材の育成による企業力の強化が必須です。
◎管理的職業従事の女性比率が低い:
全就業者の半分近くが女性にもかかわらず、管理的職業従事の女性比率は14.6%(24年版男女共同参画白書)に止まっています。因みに米国ではこの比率が41%です。なお、三菱UFJリサーチ&コンサルティングか2023年12月に全国5000人弱に実施したアンケート調査によると。課長相当以上の管理職を目指したいと答えた女性一般社員は15.5%に止まり、男性一般社員の24.8%を大きく下回る結果となりました。理由として男女とも「ストレスが増える」、「責任が増えるため」を挙げています。
女性が自発的に管理職になりたいと思う環境の整備と同時に、積極的な参加への意識改革が求められます。
◎日本の研究力低迷の要因の一つは「女性参画の割合が低いこと」:
文科省がまとめた「科学技術指標2024」によると他者の論文から引用数が上位10%に入る論文の数で、日本は2023年に続き13位に止まりました。その要因として「予算」と「多様性」、それに「国際協力」の「3つの不足」が指摘されています。
多様性の欠如の象徴として、我が国では女性研究者の数が企業や大学、公的機関等いずれの部門でも主要国と比べ低く、特に低いのが企業部門です。日本は12.2%(2023年)に対し、韓国19.2%(2022年)、フランス22.9%(2021年)と比べ見劣りします。国内の大学での比率28.9%(2023年)をも下回っています。 

■以上のことを紐解くと、我が国は戦後からの復興政策や不況対策として公共事業に重点を置き、箱モノづくり(道路・空港・港湾等)に注力しました。その結果、我が国のGDPは世界でかつて米国に次ぐ2位になりました。しかし現在は低迷し、国の累積債務はGDPの2倍にも達し、先進国で最悪の財政状態に陥っています。尽きるところ官民とも国際化や情報化に対応する人材育成といったソフト面の拡充や、女性が活躍するための環境整備を怠りました。そのため折角の投資も、国際競争力の強化や生産性向上に十分な効果を発揮していません。教育も先の大戦のトラウマから民主主義=平等主義となり、金太郎飴的な人材の育成が主眼となりました。今後世界に伍していくには「人間力を高める」ための教育制度や、Gifted(異能)の認定を始め「独創性を育む」人材養成制度が必要です。また「女性が活躍する社会」も看板倒れではなく、それを実現するための法制度を始め、具体的な基盤構築が不可欠です。

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