早いもので来週から9月に入ります。今週は大型台風10号の来襲や、9月27日が投票日の自民党総裁選挙に向け出馬表明が相次ぎました。また、中国軍機が日本の領空を侵犯した意図を巡り、日本側で疑心暗鬼が生じました。
なお、7月の訪日客(インバウンド)は329万人と、単月で過去最多となりました。国・地域別では出遅れていた中国が77万人(23%)、次いで韓国75万人、台湾57万人でした。中国がトップになるのは2022年10月以来のことですが、コロナ前の2019年7月と比べると回復率は74%に止まっています。
■■我が国は災害列島、防災意識が不可欠:
皆様も同じだと思いますが、この1週間は台風10号の動静に振り回され予定が大きく狂いました。過去最強クラスとされる勢力で、当初は東海地方に接近と予測されていましたがそのまま北上を続け、九州地方に上陸し大量の降雨により大きな被害をもたらしています。今後は中国、関西、東海、関東と本州を縦断し、全国的に被害の拡大が懸念されます。台風の位置から大きく離れている東海や関東でも豪雨被害に見舞われ、新幹線や空の便の計画運休が実施されています。
ところで、今年の元旦に能登半島地震が発生し、299名の死者(うち災害関連死70名)と行方不明3名、並びに甚大な物的損失をもたらしました。未だに通常の日常生活に戻れていない被災者が多数おられます。また、8月8日には宮崎県で大きな地震が発生し、その後一週間、「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)による特別注意が喚起されました。我が国では毎日のようにどこかで地震が発生しています。
そして日本には他にも大きな自然災害として火山の噴火があります。国内には111の活火山があり、世界の活火山の1割近くを占めています。普段は美しい姿を見せている富士山も実は日本最大の活火山です。過去を遡ると5600年間に少なくとも180回噴火したことが判明しています。最後の噴火は1707年の「宝永噴火」です。こういったことから富士山はいつ噴火してもおかしくない状態とされています。
このように日本に居住する限り、私たちは常に自然災害のリスクに曝されています。そのため平素から防災意識を持つことが必要です。なお、防災というと直ぐ「マニュアル作り」が採り上げられます。もちろんマニュアルは大事ですが、それが「あるから安心」とはいきません。忘れてはならないことは、「災害はマニュアル通りにはやってこない」ということです。中でも地震や噴火は「いつ・どこで・どれくらいの規模」か予測がつきません。そして交通・通信は寸断され連絡体系もマニュアル通りとはいきません。従って大事なことは「災害現場での咄嗟の判断力」です。場合によるとマニュアルに反することもやらざるを得ない場合も生じます。
私は東日本大震災による津波で74名の児童が亡くなった、宮城県石巻市の大川小学校の被災現場を訪れたことがあります。当時の状況を見聞きするにつれ、現場の判断が命運を分かつことを思い知らされました。平素から防災意識を持ち、いろいろなケースを想定して、「自分の命は自分で守る」心構えが大事です。
■■「辻事業サポート事務所」設立して以来の3年を振り返って:
2021年6月末に鴻池運輸㈱を退任・退社し、同年7月1日に新たなチャレンジとして「辻事業サポート事務所」を開設して丸3年が過ぎました。瞬く間に今日に至ったような気がします。
振り返りますとこの3年間は国内外とも激動の世の中でした。
国内では2020年1月から始まったコロナウイルスの感染が拡大し、3年後の昨年5月になってようやく行動制限が緩和されました。その間2021年8月~9月には原則無観客で東京オリンピック並びにパラリンピックが開催されました。そして本年7月26日~8月11日には、パリで観客入りのオリンピックが開催され、日本選手の活躍が目立ちました。現在、同じパリでパラリンピックが8月28日~9月8日開催中です。私たちに新たな感動をもたらしてくれることでしょう。
なお、国内政治については安倍元首相の暗殺事件(2022年7月8日)が発生し、それがキッカケで表面化した統一教会問題や政治資金処理問題により、政権への支持率は低迷し、岸田首相は退陣することになりました。目下跡目争いが繰り広げられていますが国民はしらけムードです。
そして残念ながら我が国の国際的地位は低下の一途です。果たしてかつての輝きを取り戻せるのか。これといった天然資源を有しない我が国が生きてゆくには、「無」から「有」(付加価値)を生み出す知恵が必要です。それには日本人の美徳とされてきた「勤勉さ」が不可欠です。ところが、かつて「勤勉」の象徴であった「二宮金次郎像」は校庭から消え、代わりに身辺でやたらと目につくのはスマホ片手に歩く姿です。ともかく我が国に必要なのは小手先の政策ではなく、「国家100年の計」に基づく長期ビジョンを策定し、国際的に通用する「人材の養成」と、制度疲労を来している「政治・経済・社会・教育システム」の改革です。
一方、国際情勢は2022年2月24日に生じたロシアによるウクライナ侵攻は、プーチンの思惑通りには行かず泥沼化し、未だ和平交渉の糸口は見えません。「戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは至難」です。その上、昨年10月7日にはハマスのイスラエルに対するテロ事件が起こり、その報復で4万人を超えるパレスチナの無辜(むこ)の市民殺害という惨劇が進行中です。ウクライナにしても中東にしてもいつ何時、大規模な大戦に拡大するか分からない危険な状況下にあります。また中国の戦狼外交を柱とする覇権主義に対して、西側諸国の警戒心が高まっています。
そして選挙イヤーとされる本年を象徴する米国大統領選挙が、11月5日(現地時間)の投票日に向け、ハリス副大統領とトランプ元大統領の間で熾烈な選挙戦が繰り広げられています。その結果は予断を許しませんが、どちらが勝利するかが世界の政治・経済に極めて大きな影響を及ぼします。最後は米国民の民主主義に対するバランス感覚が機能することを私は信じたいと思います。なお、大差でなく僅差でトランプ氏が敗北した場合、米国内で同氏の支持者が暴動を起こすことが懸念されています。
■今後について:
私は今年の10月で82歳になります。正に「光陰矢の如し」といった心境です。健康面は目下のところ、人間ドックの結果は「特記事項なし」で元気に過ごしています。
なお、私が現在の事務所を開設するに至った動機は、社会に出て60年近く目の当たりにしてきた日本経済の栄枯盛衰や、米国、中国、ベトナム、インドといった国々との事業に関わった経験を、若い人たちに伝えたいと考えたことです。それに加え「健常者は弱い立場の人の分まで頑張るべき」という信条です。この気持ちは今も変わりません。今後とも私はサミュエル・ウルマンの詩「青春」の中にある、「人は歳をとって老いるのではなく、情熱を失った時に老いる」という名言を心に頑張る所存です。引き続きご支援・ご指導、そして時にはご叱声を賜ればと願っています。
なお、事務所開設以来、原則として毎週金曜日に発信してきたブログも今回で150号となりました。つきましては今回を節目として、ブログの配信を今後は原則隔週金曜日に変更させていただきます(因みに次回は9月13日)。その理由は本業のコンサルタント業務にもう少し時間を割きたいことと、今のうちにもっと国内外に出掛けたいという思いからです。
どうかご理解をいただき、今後ともご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。