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2024年09月27日

ちょっと気になる記事・話題 (152)

大相撲秋場所で関脇・大の里(24歳)が13勝2敗の成績で、幕の内で2度目の優勝を遂げました。そして初土俵から9場所、新入幕から所要が5場所という、昭和以降で最速の大関への昇進が決まりました。同力士の出身地は石川県河北郡津幡町で二所ノ関部屋(親方は元横綱稀勢の里)所属。192cm、182kgと恵まれた体格です。観戦していますと、どんどん前に出る突進力とスピード感にすごい潜在力を感じます。この調子で親方のいう「3年先を見据えた稽古」に励めば、最高位への昇進も記録破りになるような気がします。このところ石川県は地震や豪雨と災禍が続いていますが、久しぶりに地元の人達を元気づける快挙でした。その一方で、関西の地元力士である元大関・貴景勝の、志半ばにしての引退には一抹の寂しさを感じました。
次に、総務省が発表した人口推計によると、高齢者(65歳以上)の数は9月15日(敬老の日)現在で前年比2万人増の3625万人、総人口に占める比率は同0.2ポイント上昇して29.3%となり、いずれも過去最高となりました。男性が全体に占める比率が26.1%に対し、女性は32.3%です。国連の推計によると、日本の高齢者の割合は、人口10万人以上の世界200ヵ国の国・地域で最も高く、主要国ではイタリアが24.6%、ドイツは23.2%と比べ突出しています。なお、高齢者の4人に1人が働いており、年収の壁や年金等、制度疲労が目立つ社会保障の早急な見直しが必要です。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■米国大統領選挙:
各種世論調査によると、ハリス氏支持が若者を中心にトランプ氏を上回っているよぅです。問題は日本と同様、米国でも若い世代の投票率が低いので、人気がどの程度実際の投票行動に結びつくかです。なお、トランプ氏の最近の言動は支離滅裂と感じるところが多々あります。一方、同氏は数々の訴訟事件を抱えており、大統領選で敗北し有罪判決が下ると、すべてを失い社会から抹殺されかねません。そのため今後ありとあらゆる手段を使って再戦を目指すでしょう。それにしても、ひょっとしてこんな品格のない人物が大統領に再選されたら、米国、ひいては世界はどうなるのか。考えただけでぞっとします。私は米国民の民主主義への良識を信じたいところです。
なお、日鉄によるUSスチール買収(M&A)は民間のディールから、労働組合(USW)の反対により政治問題化し、大統領選挙の行方を左右しかねない状況となりました。そのためバイデン大統領は結論を出せず選挙後に再申請となりました。結論はどちらの候補が大統領に選出されるかにもよりますが、政治問題から民間ビジネスベースに戻れば可能性が出てくると思います。ただ、日鉄側は被買収側の要求を丸飲みしたような人事案や、投資案件を提示しているような印象に加え、労働組合とのこじれた関係を修復できるか気になるところです。いわゆるPMI(Post Merger Integration、買収・統合効果の最大化)がどうなるかということです。
■自民党の総裁選挙について:
本ブログが配信される時刻にはまだ新しいが総裁が決まっていませんが、1回目の投票ではいずれの候補も過半数を獲得できず、上位2者による決戦投票にもつれこむことが確実な情勢とされています。その場合、石破―高市、石破―小泉、小泉―高市となるのでしょう。私は一昨日、政治評論家・篠原文也氏が主宰する恒例の昼食セミナーで意見として、「地方議員(党員・党友)の投票結果は民意をより表しているように思う。ところが国会議員の投票基準は政治手腕より、誰に入れる方が組閣人事等で優遇してくれるか、或いは次の選挙で有利か、更には解散したとはいえ派閥の論理に左右される。これは残念なことで、首相公選制を検討すべきではないか。そうすれば派閥もなくなる」と発言しました。篠原氏によると、公選制はかつて検討されたことはあるが、憲法改正が伴うのでいつの間にか立ち消えになったとのこと。いずれにせよ、我が国の現状はポビュリズムで選ぶような生易しい状況ではなく、確固とした政治手腕と理念、そして世界観を具えた人物が出てきてほしいものです。
■総裁選挙で争点となったこと:
①「解雇規制の緩和」:
労働契約法では「客観的に合理的な理由」を欠いた解雇は無効とされています。これは当然のことです。しかしこれを証明することは簡単ではなく、裁判になると一般的に長期化しがちです。この件についての私の主義・主張は次の通りです。
≪我が国の補助金等による労働者保護政策は、一見労働者を助けているようですが、実際は「熱さまシート」のようなもので一時的な塗布策に過ぎず、労働者のみならず企業(特に中小・零細)の自立心を失わせ、いつまでも「お上頼み」、「官民もたれ合い」から抜け切れない体質に陥っています。そして米国の実態とは逆行しスキルアップによる所得増の機会を奪っているともいえます。また、政府は我が国の失業率は低いと自画自賛していますが、雇調金等は企業内失業者を増やし、生産性とモラルの低下、そして企業の淘汰・再編・統合を遅滞させ、ゾンビ企業の温存・増加をもたらし、ひいては国力の低下をもたらしています。恒常的な人手不足に苦しむ我が国は、企業による解雇規制を緩和・弾力化し、衰退産業から新産業へ労働者の移行を促進すべきです。もちろんこういった政策の推進には労働市場のダイナミズムの醸成・強化や、リスキリング支援、そして終身雇用を前提とした退職金制度の廃止、もしくは転職者にとって不利とならない早期退職制度等、環境整備が必要なことはいうまでもありません≫。
②財政規律・健全化について:
我が国には個人が保有する金融資産が、本年6月末で2212兆円あるので、現在の国・地方の財政赤字は問題ではないという、いわゆるリフレ派がいます。アベノミクスもそういった考えに基づきました。しかし昔から我が国では「入るを量って出ずるを制す」という格言があります。そして、円はドルのように基軸通貨ではありませんので、財政の悪化は国債の格付けや為替レート(円安)に影響します。また、国民に将来不安があるので、高齢者を主とする金融資産が貯蓄として止まり、有効需要に結び付きにくいのが実情です。我が国の財政状況についてIMFの興味深い見解がありました。
◎一般的に用いられる国と地方に社会保険基金を合わせた、総債務のGDP比によると、日本の債務比率は250%を超え178ヵ国・地域で最悪の状態にある。
◎債務に加え資産も加味した「純資産」のGDP比では、日本の比率は9%ほどの資産超過で、カナダについでG7では2番目に健全。これがリフレ派の主張の根拠である。ただ、この数字が上位にあるのは主要先進国に比べ、道路や港湾などの公的固定資産の保有水準が高いからで、こういった資産は換金性が低く流動性に問題があり、企業でいえば黒字倒産のような状況になりかねない。
◎流動性などが乏しい金融資産を除いた「純債務」のGDP比で、日本は2022年に150%超と89ヵ国・地域で最悪の水準にある。

以上の点を総括すると、我が国はバブル経済崩壊後、港湾整備では「100億円の釣り堀」とか、政治力で造った道路も「タヌキかイノシシしか通らない」と揶揄されるように、公共投資は「箱もの」造りが目的化しました。その結果が現在のGDP比2.5倍以上の債務の累積です。そして最近の災害状況を見ると防災という名のもとに行われた工事があまり効力を発揮しているように思えません。尽きるところ人間は自然と戦うのではなく、自然の力を畏れ共生することを重視すべきです。なお、莫大なカネを投入したにも拘わらず、我が国の過去30年の年平均経済成長率は1%以下(1990~2021年、0.7%)と低迷しました。その理由は折角構築したハードを活かすためのソフト(人材・研究開発・教育)への投資が伴わなかったためです。その結果、新産業の創出(IT等)や生産性の向上に結び付かなかったと考えます。

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