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2024年10月11日

ちょっと気になる記事・話題(153)

10月に入って早くも中旬。今週は晴れたと思ったら雨が降ったり、涼しいと思ったら暑くなったりと、変化の激しい気象状況が続きました。予報では来週以降は徐々に秋の天気が優勢になり、朝晩は多少ひんやりしますが、日中はなお蒸し暑い日も多いので体調に気を付けるようにとのことです。
さて、2週間前の9月27日に自民党総裁選挙が行われ、石破茂氏が総裁に選出され、10月1日召集された第214回臨時国会で内閣総理大臣に指名された後、皇居での親任式並びに認証式を経て石破内閣が正式に発足しました。そして戦後最も短い首相就任後わずか8日の10月9日に解散しました。これにより第50回衆議院議員選挙が10月15日公示、10月27日投票で実施されます。それにしても衆議院議員の任期は来年10月30日までありましたが、この度のあたふたとした解散の大義は一体何だったのでしょうか。結局「みそぎ・出直し」選挙の様相で、自民党はかなり苦戦しそうですが、対する野党も決め手がなく国民は迷うことでしょう。
さて、10月に入って食品を中心に値上げが続いています。その数2900品目を超えるとされています。中でも、本格化し始めた24年産米の主要銘柄である、新潟産コシヒカリのコメ卸会社間の取引価格は、前年同期比8割以上値上がりし31年ぶりの高値となっています。この背景として昨年の猛暑の影響だとか、インバウンド客の増加による需要増とかいわれますが、減反政策は廃止されたといっても実態は制度維持の農政にも起因するのではないでしょうか。世界では7億人以上が飢餓に苦しんでいる現状を考えると、ハイテク化により生産を増やし輸出拡大に転ずるべきではないでしょうか。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■米大統領選挙:
投票日まで1ヵ月を切りましたが、選挙キャンペーンは中傷合戦の上にフェイクニュースが飛び交い、これからどういう結末になるのかコメントのしようがありません。トランプ氏は今や支離滅裂で「勝つためには何でもやる」ことを厭わず、残された選挙期間中、ありとあらゆる手段を使ってくるでしょう。まさに米国版「仁義なき戦い」といったところです。目下のところハリス氏の方が若者と女性を柱に支持率がやや高いようです。しかし勝敗のカギを握る激戦7州の情勢は混沌としており気になるところです。
■本年のノーベル賞受賞者の発表が始まる:
今年もノーベル賞受賞者が発表される季節になりました。その先陣を切って10月8日、物理学賞部門で米国プリンストン大学・ホップフィールド氏とカナダのトロント大学のヒントン氏に授与されることになりました。受賞理由は「人工ニューラルネットワークで機械学習を可能とした基礎的発見と発明」です。両氏の成果をもとに高精度な文章や動画像を生み出すAI(人工知能)が開発され、社会に大きな影響と変化をもたらしています。
因みに1901年(第1回)から昨年までの受賞者を出身国別にみると、1位・米国(209人)、2位・英国(80人)、3位・ドイツ(71人)、4位・フランス(35人)、5位・日本(25人)です。日本人初の受賞は1949年に物理学賞に輝いた湯川秀樹博士ですが、その後の受賞者数の伸びは低調でした。しかし2000年代に入って一気に増えました。
なお、私は2011年11月に関西生産性本部の北欧ミッションの団長としてスウェーデン、フィンランド、ドイツを回り、女性の社会進出の現状を目の当たりにして我が国との落差に愕然としました。この件の詳細は別の機会として、その際、スウェーデンでノーベル賞授与式が行われるストックホルムコンサートホールを訪れました。その重厚な雰囲気はとても印象的でした。本物を手にすることはあり得ませんので、中身はチョコレートの金メダルを記念に買って帰りました。
■日本経済の現状について:
石破首相は就任後初となる所信表明演説を行いました。その中で「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向けて、「生産性向上」や「官民投資の加速」に力点を置く姿勢を示しました。そして①ルールを守る、②日本を守る、③国民を守る、④地方を守る、⑤若者や女性の機会を守る、という5つの「守る」を掲げました。
これまで「生産性向上」や「地方創生」といった言葉は、政策として耳にタコができるほど聞かされてきました今回も「またか」という印象です。問題はそれをどうやって実現するかです。カネだけばら撒いても行き着くところは「人材不足」、「アイデア不足」で、結局、コンサル会社に丸投げのような形になり、似たりよったりで独自性のないものが出来上がるのです。
■我が国の労働生産性の現状について:
国際経済学者・竹森俊平氏は、米国とユーロ圏、ドイツ、日本を比較して、①90年代頃までの米国との生産性ギャップの好転、②それ以降の悪化を指摘しています。欧州の製造業をリードするドイツの場合、90年代は一貫して米国を上回りましたが現在はそれ以下です。日本の場合はより深刻で、90年代に2割近くに縮まったギャップは現在3割に拡大しています。そして国際経済において米国や中国が存在感を高める一方、日本とEUの地位が低下していますが、その最大の原因はハイテク部門(IT、金融)での遅れとしています。
■我が国のデジタル化の遅れ:
我が国で政府が2001年にIT化計画「e-Japan戦略」を始めて以来20年以上になります。そして2021年9月にはデジタル庁が発足しましたが、未だ各府省庁の縦割りの壁を崩せず、効力を十分発揮し切れていません。なお、デジタル化の遅れは情報管理(漏洩)についての政府への不信感や、既得権益を守ろうとする業界と族議員のもたれ合いにも起因しています。
そして、我が国では2016年1月1日マイナンバー制度が導入されましたが、マイナバ―カードの取得率は本年8月末時点で未だ74.8%に止まり、マイナ保険証の利用率も本年7月現在で11.3%にとどまっています。一方、プライバシー保護に極めて厳しい米国ですが、同国では80年以上前から我が国のマイナンバーに相当する、「社会保障番号(Social Security Number)」が導入されています。同国民並びに在住者は例外なくこの番号の取得を法律で義務づけられています。これがなければ生活ができません。私の場合も、約50年前に米国に赴任した際に取得した社会保障番号は、私が生きている限り不変で米国政府にて管理されています。そのお陰で地球上のどこにいても、私が現地在勤中に支払った保険料に見合う年金が、私が指定する銀行口座に振り込まれます。以上のように、米国では社会保障番号制度の徹底がデジタル化の普及に大きな威力を発揮し、政府・民間を問わず効率化による生産性向上の最大の武器となっています。我が国でも法律を強化してでも、マイナンバー制度の導入促進を図るべきです。このままではデジタル化への世界的潮流から取り残され、国力のますますの低下が避けられません。

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