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2025年03月07日

ちょっと気になる記事・話題 (163) 

以前は「災害や怖いもの」を象徴する言葉として、「地震・雷・火事・親父」が慣用句でした。ところが最近の「親父」は、「よいこと」かどうかは別にして、「怖い存在」というイメージは薄れています。そして「親父」に代わって、「台風・水害・雪害・火山の噴火・放射能」が加わり、更に直近では、「道路の陥没」と「山火事」が追加される状況になっています。中には人災もありますが、やはり地球温暖化による気候変動が直接・間接的に大きく影響しているように思われます。
なお、岩手県大船渡市で発生した山火事は2月26日に発生して以来、10日が経ちました。久しぶりの雨で火災は一応収まっているようですが、未だ予断を許しません。3月6日現在の焼失面積は、2100ha(東京ドームの約449個分)に達しています。山火事は米国など広大な森林を有する国では珍しくありませんが、まさか国内でこれほど大規模な山火事が発生するとは思いませんでした。私は同市を東日本大震災が発生した2年4ヵ月後の2013年7月に視察で訪れたことがあります。大船渡は背後に迫る山と海のはざまに位置する漁港です。そのため山火事が海岸線まで及び、水産業に欠かせない漁船まで避難させる深刻な事態になりました。
私たちはこういった数々のリスクと日々隣り合わせで暮らしていること、そして「明日は我が身」であることを忘れず、常に防災意識を持っておく必要があります。 

■■最近想ったこと・注目したこと
■決裂した米国・ウクライナ首脳会談について:
2月28日(現地時間)、ワシントンで世界中が注目した米国トランプ大統領とウクライナ・ゼレンスキー大統領の首脳会談が行われました。結果は「決裂」という最悪の事態を招きました。その背景としていろいろな要因が挙げられますが、私はウクライナ側の事前準備の不足が大きく影響したように思います。
2月7日(現地時間)に行われた日米首脳会談は、今回の会談とは深刻度や緊急性が違ったとはいえ、日本側は「無難に終える」ことを最重点とし、故・安倍総理から学んだことを始め通訳の人選に至るまで、トランプ対策を徹底的に練ったことが功を奏したといえます。
一方、ゼレンスキー大統領は通訳を通さず、国家の存亡が懸かるデリケートな問題について、英語で直接トランプ大統領と対話しました。確かにゼレンスキー大統領は非常に流ちょうな英語を話します。しかし国を代表するトップ同士の、しかも失敗が許されない会談の場合は、双方ともNative Speaker(母国語とする)でない限り、例え語学力に自信があっても通訳を通すのが常識です。それにより間を取りながら対話が出来るのです。民間企業でも大事な商談や契約交渉の際は普通そうします。
一方、トランプ大統領はプーチンのような独裁者への憧れが強く、自己陶酔型でプライドが高いことから、折り合いをつけるにはChemistry(相性)が合う(合わせる)ことが大事です。今回の会談に際してトランプ氏としては、ゼレンスキー氏が「平身低頭して感謝の表する」ことを期待した筈です。ところがゼレンスキー氏は自説をぶつけた上に、米国政府の古傷をえぐるようなこと(クリミヤ問題)や、プーチンへの人物評の違いにも触れました。これを公の席でメンツをつぶされたと感じたようです。それに加え会談では、側に控えていたバンス副大統領(40歳)が異例のことですが、横やりを入れたことが火に油を注ぐことになりました。
また、トランプ大統領は選挙運動中の「自分なら24時間で戦争を終わらせる」(1月に入り6ヵ月以内に修正) という、自らの発言へのこだわりが強く、極論すればどういう形にせよ停戦と和平さえ実現すれば、「あとはどうでもよい」といった、功を焦る気持ちが見受けられます。デジタル時代においても決め手になるのは、やはり人間の心の底に潜むアナログ的な Mentality(心理・発想)のようです。
さて、今回の会談決裂に対して、欧州各国は相次いでウクライナ支援継続を表明しました。しかし軍事支援の約49%(約10.2兆円)を占める米国の拠出分を補うことは無理です。そのためウクライナを始め欧州主要国は、米国との関係改善に向け懸命の努力をしています。その結果、近々、和平交渉に向けての米国とウクライナの協議が再開される見通しとなりました。「雨降って地固まる」ことを願っています。
因みに、ウクライナを始め中国、ロシア、インドのように、複数の国と陸続きで国境を接している国々では、生まれながらにして地政学的な「したたかさ」が育まれます。これが外交力に繋がります。その点で四囲を海に囲まれた島国日本は、「白か黒か」で判断しがちで、外交で大事な「グレイゾーンでの交渉力」を磨く機会が少ないと言えます。
さて、このところ米欧間で「きしみ」が生じています。もともと欧州では、米国は国・故郷を捨てた移住者が建てた国であり、歴史もフランスの1000年以上に対し、米国は来年でようやく建国250年、カネと力はあるが歴史と文化はないことを「さげすむ」ところがあります。イーロン・マスクやバンス副大統領に対しても拒否反応です。
また、欧州は戦乱の歴史です。一方、米国民は空から爆弾を落されたことも、ミサイルを撃ち込まれたこともなく、外国から侵略されたこともありません。従ってウクライナを始め欧州の人々の痛みがよく分からないかも知れません。なお、米国ではフランス語が出来ると一目置かれるように、米国人は祖先の出自に関心が強いように思います。 以上、在米中に学んだことを含め独断と偏見で記しました。
■「職業に貴賤なし」:
今では不適切で教科書からも消えましたが、我が国では江戸時代には「士農工商」という身分制度がありました。そして現在も職業によっていろいろな一文字がつきます。例えば「家(か)」が付く職業として農家、解説・評論家、芸術家、それに政治家等があります。「士・師・司(業)」)が付く職業として弁護士、税理士、通関士、消防士、力士、医師、教師、講師、保護司、宮司等々、多数あります。公務員では「官」が付く警察官や自衛官等があります。これらについて調べてみると、中には国家資格が必要な職種がありますが、法律上の明確な区分はないようです。
一方、俗称として「屋」が付く職業として、私が長年関わった運輸業界は「運送屋」、建設会社は「土建屋」、そのほか多数あります。一般的には「業」に置き換わっていますが、今も「屋」を使う場合は「親しみをこめて」が多いようです。しかし時と場合によっては卑下したりマウント的な響きがあります。なお「屋」には中小事業者が多く、中にはいわゆる3K(きつい・きたない・危険)職場が含まれます。ところが私たちの日常生活を支えているのは、こういった職場で働く「エッセンシャル・ワーカー」(不可欠な労働者)と称される人達です。そして今、3Kというイメージに加え、少子高齢化、人口減少により、この分野の人材不足率が2割以上に達しています。人材確保には労働条件や労働環境の改善が不可欠です。さもなければ近い将来、私たちの日常生活に大きな影響が生じます。
ちなみに、私はトラックドライバーを始め、エッセンシャル・ワーカーの人達を見掛けたら、必ず「ご苦労さん、いつも有難う!」と声を掛けるようにしています。この一言が何よりの励みになるのです。皆様も是非、心掛けていただければと思います。

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