今年も早いもので後半期に入っています。旅も行程の半分を過ぎ復路に入ると短く感じるのと同様に、人生も今や100年時代とされますが、50歳という節目を通過した後は、一年が加速度的に早く過ぎ去ったように思います。一日一日を大切に、出来るだけ無為に過ごさないよう自らを戒めているところです。
さて、4月13日(日)に開幕した大阪・関西万博ですが、7月13日(日)に6カ月間の会期の半分を終えました。開幕前は今一つ盛り上がりを欠いていましたが、7月12日に累計で1011万人を突破しました。入場券も月200万枚前後売れており、このペースでいけば8月中にも黒字のめどがつく可能性があるとのことです。そして当初は4月13日に予定されていたブルーインパルスの会場上空での編隊飛行は、悪天候で直前に中止されましたが、そのリベンジ飛行が7月12日(土)、13日(日)の2日間行われ観衆を魅了しました。私は1970年の大阪万博開催時は27歳で何度も訪れましたが、今回も近々会場を訪れることを楽しみにしています。
ところで毎年年末に1年を象徴する一文字が選ばれますが、今の時点でそれを決めるとすれば、私は「米」という字を選びたいと思います。理由は「米」(コメ)の不足と値上り(前年比2倍)が国民生活を脅かしていること、並びに関税問題で「米」国が世界を混乱させているからです。なお、ChatGPTによると米国=Americaの語源はイタリアの探検家の名前で、日本語で米国と呼ぶのは「アメ」→「米(ベイ)」という音訳を元に、外国名を1字に略す日本独自の慣習によるとのことです。露国、英国、豪州等々然りです。因みに中国では米国を「美国」(Meiguo)と呼びます。音訳とはいえ日本では「米の国」に対して、中国では「美しい国」と持ち上げているのは昨今の国際情勢から奇異に感じます。
■■最近想ったこと・注目したこと:
■参議院議員選挙結果について:
7月20日に実施された参議院議員選挙は事前の予想通り与党・自公の惨敗に終わりました。ただ負けっぷりが想定内であったことと、米国が8月1日から課すとしていた25%の相互関税が15%で決着したと報じられたことから、7月23日から日経平均株価(終値)は意外にも連日上昇し41000円を超えました。
今回の選挙結果により、参議院の新勢力は自民114→101(▲13)、公明27→21(▲6)となり、全議席数248の過半数125を3議席下回る122にとどまりました。衆議院の方は、昨年11月の選挙(定数465)で自公は合計220議席(196+24)となり、過半数233議席を割り込みました。昨年10月1日に発足した石破政権ですが、去る6月22日に行われた東京都議会選挙での敗北を加え目下3連敗です。
国会議員にとって最大の関心事は議員としての資格を護ることです。従って党首は選挙に強いことが最重要です。それにより求心力が保たれ政権を維持できるのです。
第二次安倍政権(2012年12月26日~2020年9月16日、2822日)が戦後・憲政史上最長となったのは、6回の国政選挙に全勝したことが最大の要因でした。この点から考え3連敗では、「後継に適任者がいるのか」という議論以前に、「石破おろし」は当然の動きです。このままでは政権与党である自民党の党内情勢は混迷の度合いを強め、ますます複雑化する国際情勢の下、我が国の先行きは極めて深刻です。
今回の選挙で国民の閉塞感と政治に対する不満の受け皿となったのが国民民主党と参政党です。今回の選挙結果により、国民民主党は衆議院27、参議院9→22、参政党は衆議院3、参議院2→15となりました。因みに維新は衆議院38、参議院17→19です。今回の選挙で目立ったのはSNSの活用に加え劇場型のキャンペーンです。つまり「手取りを増やす」とか、「日本人ファースト」といった単純明快なキャッチフレーズが、無党派層の琴線に触れたのです。米国でもトランプ大統領は選挙運動中、終始一貫「MAGA!」(Make America Great Again!、アメリカを再び偉大に!)と叫び続けました。一方、自民党は消費減税か給付かの議論、或いは年金問題、それに外国人問題が争点になると慌てて対応策を打ち出すなど、あやふやな姿勢が目立ったことが敗因と考えます。要は国民が求めているのは「強いリーダーシップ」なのです。
なお、今回の参議院選挙では女性議員が42名誕生し当選者全体の33.6%を占め、非改選を加えると73名となり、全体(248名)の29.4%と過去最高になりました。また投票率は58.51%に達し、18年ぶりの58%台到達でした。要因として3連休の中日だったことと、期日前投票が有権者の1/4に達したこと等が挙げられています。
■国民民主党・玉木雄一郎党首と質疑応答:
毎月恒例の政治評論家・篠原文也氏が主宰する「直撃ニッポン塾」(昼食セミナー)が、7月22日開催され出席しました。今回のゲストスピーカーは玉木雄一郎氏でした。参議院選挙直後で政局が激しく揺れる中ですが、当初予定通りお出でになり30分ほど熱弁を振るわれた後、篠原氏の厳しい突っ込み対談、そして質疑応答となりました。
私は次のような意見を述べました。
「今回の選挙での勝利、おめでとうございます。現在の政局はさておき経済面で懸念していることを申し上げます。一つは今回の自公の敗北により、消費減税等が導入され財政規律が一段と緩み、金利が上昇し景気に影響することです。もう一つは米国が導入する関税問題です。日本との相互関税は当初予定だった25%が15%(日本製自動車含め)に下げられましたが、同時に5500億ドル(約80兆円)の対米投資を約束したとされています。関税率もさることながら80兆円という金額は日本の国内年間投資額が110兆円前後であることを考えると規模の大きさがわかります。また米国は保護主義化を強めていることから日本の基幹産業である鉄鋼、自動車を始め、日本企業の米国志向が強まっています。一方、日本社会は少子高齢化・人口減少が進み国内市場は縮小が続いています。そのため国内では経済成長と雇用創出につながる投資機会が減少し、産業空洞化と地方の疲弊が一段と進むことが懸念されます。こういった我が国の先行きにどう対応するかお考えをお聞きしたい」。
これに対し玉木党首からは「AIを中心に投資機会はある」とのことでしたが、明快なビジョンは示されませんでした。
それを示すことは極めて難しいことは私も十分認識しており、全国民が知恵を絞り真剣に考えねばならない課題です。そして野党の中には財源を示さずポピュリズムに訴える風潮が見られますが、これは避けるべきではないかと思います。また今回の関税交渉を通じ、やはり我が国は外圧がなければ政策転換できない体質であることを改めて実感しました。