7月30(水)、午前8時25分頃、ロシア・カムチャッカ半島付近を震源地とするマグニチュード8.8(2011年の東日本大震災と同レベル)が発生しました。その余波で震源から約1500km離れた我が国の沿岸各地にも津波警報が発令されました。津波情報には「大津波警報」「津波警報」「津波注意報」の3段階があります。今回は2番目でしたが、各自治体は計200万人に避難指示を出しました。幸い大きな人的被害は発生しませんでしたが、地域的に交通・物流で混乱が生じるなど、間近に迫るとされる南海トラフ地震や、首都直下型地震への備えに多くの課題を残しました。
さて、連日、猛暑が続き、熱中症アラートが発表されています。7月30日に私が住むところから80キロ程の兵庫県丹波市で国内観測史上最高となる41.2度を記録しました。ところがその僅か6日後、今度は群馬県伊勢崎市で41.8度が観測され記録が塗り替えられました。
次に、最近の「アッパレ!」を一つ。8月3日、英国南西部、ロイヤル・ポースコールGCで行われた、女子ゴルフ今季メジャー最終戦、AIG全英女子オープンで山下美夢有(みゆう、24歳)選手が通算11アンダーで初優勝を果たしました。日本人女子プロのメジャー大会制覇は6人目です。山下プロのドライバーの平均飛距離は236ヤードと女子プロのほぼ平均値ですが、身長は150cmと小柄です。今回の全英オープンでは平均217ヤードでした。風が強いリンクス特有の自然にマッチした距離より精度を優先したプレースタイルと、ショートゲームのうまさが勝利の決め手となったようです。因みに男子プロゴルフのメジャー制覇は、2021年のマスターズ・トーナメントでの松山英樹選手だけです。どうも女性の方が時差や気候・風土といった環境の変化、他国人との折り合い方、そして食・住等異文化への適応性で一枚上のような気がします。
■■最近想ったこと・注目したこと:
■米国の関税問題と日米の解釈の違い:
日米間で懸案の相互関税について、「米国側は日本製品に対して25%を課すとしていたが、15%とすることで合意した」と報じられました。赤沢経済財政・再生相が8回渡米し粘り強く交渉した結果ですが、その後日米間で合意内容(特例措置)に関して齟齬が生じています。そして国会では野党側が合意文書がないことを厳しく追及しました。ただ、トランプ大統領の一存ですべてが決まる現状を考えると、正式な合意文書を事務レベルで作成することは、日米双方にとって無理だったと思います。
なお、新たな関税に加え日本側は米国に5500億ドル(約80兆円)投資することに同意しました。この点の解釈についても日米間であいまいさが残っています。
そもそも自由主義市場経済に於いてはレッセフェール(自由放任主義)が基本原則です。つまり投資やそれに伴うリスクは自己責任に基づき民間企業に任せることです。さもなければ資本のダイナミズムが失われ企業の活力は弱まります。トランプ大統領のように政治的な思惑と、恣意的かつ独断的な考えを押し付けられた場合、どういう結末が待っているのか、極めて不透明な事態に陥っています。今回の関税交渉を通じて感じることは、トランプ大統領の権力乱用により米国側の行政組織が機能していないことです。決めるのは大統領だけが実態です。従って最後は首脳会談しかありません。そしてその場合、筋を通すにはChemistry(相性)が合うかどうかが大きなファクターとなります。安倍元首相亡きあと、果たして現有の日本の政治家で適任者はいるでしょうか。
■コメ不足の原因と繰り返される消費者パニック:
この1年、コメ不足が顕在化し価格も約2倍に高騰しました。その要因として、①減反政策の失敗が生産量の不足をもたらした、②精米の歩留まりの低下、③一人当たり消費量の見通しの甘さ、④インバウンド客(訪日外国人)の増加、等があげられています。このうち③の消費量増加について政府は、2024年7月~2025年6月における2人以上の世帯の家計購入量は前年同期から11万トン増加したと推測しています。これは主食であるコメが手に入らなくなるという消費者の不安心理、つまり一種のパニック状態に陥り、実需以上の仮需が発生したのです。
過去を振り返りますと幾度となくパニックが繰り返されてきました。直近では昨年夏の南海トラフ地震臨時情報に伴うコメの買い置き増、②2020年初頭に発生したコロナ禍のマスク不足、そして私の記憶に強く残るのは、③1973年10月に中東戦争に端を発した、第一次オイル・ショツクによるガソリン不足とトイレット・ペーパー買いだめ騒動です。結果的にはほとんどの車のガソリンタンクは常に満タン状態、そして多くの家庭の押し入れは数年分のトイレット・ペーパーであふれ返っていたのが実態でした。また、バブル崩壊後、銀行の取り付け騒ぎもありました。これらはすべて生活必需品や預金がなくなるという不安心理がもたらしたものです。このように我々は歴史から学ばず、世代が変わると新たなパニックを繰り返してきたのです。
今回のコメ騒動では、①関係者が事態をあまく考えたことと、②旧態然とした流通形態によるスピード感の欠如、③備蓄米の放出を小出しにしたこと、等が不安心理を煽りました。不安心理の解消・緩和にはいかに正確な情報を迅速に伝え、風評に惑わされぬよう人々に安心感を与えることです。
■政府より女性トイレの行列是正へ通知:
前々回のブログ(7月11日)に続きトイレ事情の話題です。
このほど政府は国内のイベント主催者に対して緊急通知を発出し、仮設トイレを設置する際は、男女で混雑の程度に差が生じないよう「バランスのとれた設置数」を求めました。確かにイベント会場や映画館などでは女性用トイレに長蛇の列が見掛けられます。その裏に便器の数の男女差があるとされています。ある方が全国900カ所を超えるトイレ(大・小便器を含む)を調査したところ、総数では男性用の便器数は女性用の1.7倍を超え、全体の95%のトイレで男性用数が上回っていました。
因みに、汽車や飛行機、飲食店等では「男性用」と「男女共用」が混在しています。これは設置スペースが狭いためで、「男女共用」に対する違和感はないと思います。ところが他の公共的な場所では区別されているのが通例です。つまり設置スペースがさほど限定されないところでは、男女の身体的な違いや、セキュリティ、それに共用に対する抵抗感が挙げられるのではないでしょうか。この点では欧米も同じと思います。今回の政府の通達は男女「不平等」の是正の一環としていますが、トイレ事情はかならずしも「差別」から生じているとは言えないのではないでしょうか。
なお、英語では便所のことを”Restroom、Bathroom、Washroom、Lavatory(飛行機内やフォーマルな呼び方)”と称します。一方日本では、特に高齢女性は便所を習慣的に「ご不浄」と呼んできました。これは仏教の戒律と日本人の美意識に由来しているようです。今では我が国でも「トイレ」や「お手洗い」「化粧室」などに呼び方が変わっています。