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2025年12月12日

ちょっと気になる記事・話題(183)

12月も中旬となり何となく気ぜわしさを感じます。振り返りますと今年もいろいろな出来事がありました。そういった中で国内での話題は何といっても、我が国憲政史上初の女性首相誕生でしょう。そして高市首相が10月4日の自民党総裁選で選出された後の演説で語った、「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が、今年の流行語大賞に選ばれました。「みんなもっと働け!」とハッパをかけているように曲解されたところがありましたが、表彰式に出席した首相は「そういった意図はなく、一生懸命働いて国民に貢献したいという思いから」の発言だと釈明しました。
なお、世界経済フォーラム(WEF)によると、我が国のジェンダーギャップ(Gender Gap)は、2023年の146ヵ国中125位から、2025年には148ヵ国中118位へと順位を上げましたが、まだアジア諸国や世界平均と比べ見劣りする順位です。G7(先進7カ国)ではずっと最下位のままです。しかし、今回の女性首相誕生により、G7で女性トップ(大統領・首相)を輩出していないのは米国のみとなりました。我が国では政界での女性の参加率が低いことが、順位低迷の要因とされていますので、少しはランクが上がるかもしれません。
さて、忘年会のシーズンです。ところが私たちの世代と異なり、今の若者の6割は「職場の飲み会」は不要と考えており、「時間・お金・気」の3つの「つかう」を嫌がる傾向があるそうです。加えて、自動車はもとより自転車についても、昨年11月から飲酒運転に対する罰則が強化されたことも、「職場の飲み会」離れの一因かもしれません。もちろん何があっても「乗るなら飲むな、飲んだら乗るな!」は徹底しなければなりません。「飲酒運転」は犯罪です。
何はともあれ現場勤務の若かりし頃、仕事が段取りよく終わった後、「ご苦労さんやった、ちょっと一杯行こか!」と上司から声が掛かるのを、密かに期待していたことを懐かしく思い出します。今年は戦後80年、正に「昭和は遠くなりにけり」といった感です。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■止まらない少子化・高齢化と人口減少:
2024年に国内で生まれた日本人の出生数は、過去最少の68.6万人でした。今年も民間の試算では前年比3.0%減の66.5万人と、2年連続で過去最少を更新するとしています。因みに出生数が最も多かったのは、第一次ペビーブーム(1947~1949年)の最終年の1949年(昭和24年)で、269.7万人(2024年の3.9倍)でした。出生数と密接に関連する婚姻件数も、第二次ベビーブーム(1971~1974年)の1972年には、過去最高の109.9万組でしたが、2024年は半分以下(44%)の48.5万組まで減少しています。
こういった状況に鑑み、高市首相は先の所信表明演説で、「日本の最大の問題は人口減少である」と強調しました。日本の総人口は、2008年の1億2808万人をピークに減少し続け、本年6月1日現在の総人口(確定値)は1億2319万人(ピーク時比約500万人減)となっています。そして国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)が2023年に公表した最新の人口推計によると、2070年の総人口(中位)は約8700万人と予測しています。同時に高齢化(65歳以上)も進み、2020年時点の28.6%から2070年には38.7%まで上昇する見通しです。また、2040年には85歳以上が1000万人を超える一方、生産年齢人口(15~64歳)は2025~2040年に約1100万人減少します。このように我が国は既に少子・高齢化・人口減少(少産・多死)社会となっています。人口統計は精度が高く、今後高齢者数がピークの3952万人に達する2043年(第二次ベビーブーマーが65歳に達する年)に向け、一段とその傾向が強くなり、我が国の経済・社会保障制度への影響が様々な形で顕在化します。外国人労働者の受け入れと共生社会の形成、60→65→70歳への定年延長と年金支給年齢の引き上げ、税金や社会保険料の応能負担等は避けて通れない、喫緊の課題となっています。
このほかにも我が国は「世界最悪レベルの国家財政」、「世界最大級の災害多発国」といった固有の問題を抱えています。高市政権はこれらの諸問題にどう対峙し道筋をつけるでしょうか。
■第2次トランプ政権初の、「国家安全保障戦略」(NSS)を発表:
NSSは米国の安全保障政策の指針となるものです。そこには中国を念頭に、「台湾を奪い取る試みを阻止するために、米国と同盟国の能力を強化する」ことが織り込まれており、それに伴い同盟国に対して防衛費の大幅な増額を要求しています。
また、基本戦略として米国の国益を優先(トランプ・モンロー主義)し、中南米を中心とした「西半球」への対応を重視する姿勢を打ち出しています(日本は東半球)。その姿勢は既にトランプ大統領の「カナダを第51番目の州にする」とか、「メキシコ湾をアメリカ湾に改称」、或いはロシアとの間に位置する「グリーンランドを買収する」とか、更には直近では麻薬対策を名目とした、ベネズエラへの軍事介入といった言動に表れています。そして欧州とは政策的に一線を画す一方、ロシア、中国とは対立より宥和姿勢が窺われます。
中国はこういった米国の政策の変化を敏感に嗅ぎ取っています。そして高市首相の台湾問題に関する発言につけ込み、今後、覇権主義に基づき日本近海、並びに東アジアでの軍事行動・挑発を一段と激化させると思われます。
なお、気まぐれなトランプ大統領、並びに後継の有力候補とされるバンス現副大統領は、アメリカ・ファーストに基づくディールをベースとしており、その外交方針には不透明さが感じられます。ウクライナ和平交渉も然りです。従って、我が国の国家安全保障のあり方は、今や大きな転換点に立っているといっても過言ではありません。
■トランプ関税についての最高裁の判断:
トランプ大統領は本年1月の就任以来、米国が不公正な貿易で他の国から搾取され続けてきたと訴え、各国からの輸入品にかける関税の平均実効税率を、就任前の2.4%から16.8%へ大幅に引き上げました。この関税について米国ではニューヨークを拠点とする中小企業や民主党系の州が原告となり、「大統領の権限逸脱」を訴え告訴しています。5月の一審判決と8月の二審判決は、原告側の訴えを大筋で認めました。目下、舞台は米連邦最高裁に移り、その判断が大詰めを迎えています。
この件について親しい米国の友人はメールで、「関税のせいでアメリカ国民は非常に高い代償を払っているのに、国としては敵を作っているだけだと思います。関税収入は巨額に積み上がっていますが、それをどう使うか、あるいは最高裁判所が違法と判断するかどうかによって状況は変わってきます」と記しています(このメールはAIの翻訳機能を使って日本文で送られてきました。すごい時代になったと思います)。
なお、連邦最高裁の判事9人のうち、保守派とされる6人は基本的には政権側です。しかし、最高裁は常にトランプ政権に有利な判断をするわけではないとされています。もし最高裁が「トランプ関税は違憲」と判断した場合、政権側は別の代替策を考えるとされていますが、大きな影響と混乱が避けられないでしょう。事態の推移を注視する必要があります。

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