
クリスマスも過ぎいよいよ今年も残すところ1週間を切りました。我が国では年末年始は休日になりますが、「国民の祝日」としては1月1日元旦のみで、後は各企業・団体の慣例や慣習に基づく決定次第です。因みに、金融機関は銀行法によって12月31日~1月3日が休業日です。なお、本年末から来年初めは日並びの関係から、多くの企業・団体は12月27日(土)から1月4日(日)まで、9日間の大型連休になるようです。
一方、米国では12月25日はクリスマス休暇(連邦祝日)ですが、その前後と年末年始の休暇は個別企業・個人の裁量です。ただし今年は特例として、連邦政府はクリスマス前後(24日、26日)を加えた3日間を、「連邦政府(連邦職員)の休日」と設定しています。金融機関(銀行・証券等)は12月31日も通常営業、そして1月1日(元旦)は連邦休日ですが、2日以降は通常営業のようです。
なお、世界的にみると1月1日を公式の新年とする国・地域が圧倒的ですが、伝統的・宗教的な新年が重要視される文化・地域も多数あります。例えば中国や韓国、それにベトナム、台湾等は旧正月(春節)を祝います。元旦は年によって違い、来年は2月17日(火)です。中国を始め華僑の多いアジア諸国では2月15日頃~2月23日頃まで休日となり、経済活動はほとんどストップします。また、イスラム歴、ユダヤ歴等々、宗教歴・独自歴により様々なお正月があります。
海外に出掛ける時は相手国の文化・慣習を予め調べていかないと、移動や観光で思わぬ影響を受けることがあります。
■■今年想ったこと・注目したこと:
■今年の国内・海外10大ニュース:
振り返りますと今年も様々な出来事がありました。読売新聞恒例の「読者が選んだ10大ニュース」の上位3つを見ますと、国内では(1)大阪・関西万博が開幕、(2)クマ襲撃相次ぎ「緊急銃猟」開始、(3)自民党総裁選で高市早苗氏勝利、初の女性首相に、でした。そして海外関連では(1)第47代米大統領にトランプ氏が就任、(2)中国、高市首相答弁に反発、渡航自粛呼びかけ、(3)米相互関税発表、日本24%、中国34%、となっています。
なお、国内部門1位の万博は、4月の開幕当初はネガティブ・キャンペーンが多く、一体どうなることかと心配しましたが、後半に入り内容が伝わるにつれ急速に人気が高まり、10月13日、大成功の内に終幕しました(入場者数約2560万人、政府試算経済効果3.6兆円)。また、海外部門1位のトランプ氏の大統領就任は衆目の一致するところですが、この1年、世界中がその言動に振り回されました。まだ任期は3年ありますが、その気紛れと傲慢さに「もうウンザリ」といったところでしょう。各地・各国で「友好国」としてのアメリカ離れ現象も生じています。
そして今年を象徴する漢字として「熊」が選ばれ、清水寺の貫主により揮毫されました。各地で熊が出没し住民に危害を加えたことと、「熊猫」と表記されるパンダに注目が集まったようです。私の予想は「米」(米国、コメ不足・価格高騰)でしたが、「熊」による被害の方がインパクトが強かったようです。なお、「熊」は英語でBearですが、その形容詞Bearishはニューヨークの証券市場では弱気・下落予想を意味し、あまり歓迎されません。その反対の強気・上昇予想はBullish(雄牛が語源)です。
■高市政権スタート:
我が国の憲政史上初の女性首相が誕生(10月21日)して2ヵ月が経ちました。一般的に新たな政権が発足して3ヵ月間はハネムーン期間とされ、高い支持率が維持されます。高市政権も最近の各紙の支持率はおしなべて70%を超えています。不人気だった前任者に代わる女性初の首相というフレッシュさに加え、ダークスーツ一辺倒と異なり微笑みと花があり、そしてひたむきに仕事に取り組む姿勢が評価され、特に若い層の共感を生んでいるようです。このように目下のところ支持率が高い高市政権ですが、今後は外交政策に加え経済政策が最重要事項となります。先日成立した補正予算(18.3兆円)や、近々決定する新年度予算案(122.3兆円、過去最大規模)に対する評価は、国民世論に加えマーケット(金融・証券・為替市場)の動きです。長期金利の上昇や円相場は「財政規律」への懸念を現わしています。真の政治家は時には国民に「苦い薬」を飲ませることも厭いません。いよいよこれから政権にとってハネムーン時代から正念場に入ります。頑張ってもらいたいと思います。
■日中関係について:
高市首相は外交面では就任早々、タイミングよく様々な国際会議に出席し好スタートを切りました。しかし中国についてはご承知のように、高市首相の国会発言により対立色が強まり、日中関係は膠着状態が長期化する懸念が生じています。一方、トランプ大統領は対中政策を従来の対立・対決から共存・宥和、いうなれば政経分離で実利優先に転じています。そしてその状態を維持しながら台湾問題の現状凍結を図ろうとしています。これは我が国とは異なりバックに世界最強の軍事力と経済力を擁することから可能なのです。以上を考えると米中間で我が国の頭越しに事が進み、我が国の立ち位置は難しくなります。また、アジア諸国(フィリピン・台湾を除く)では領土・領海問題を抱えながらも、中国との経済・貿易面での関係を深めています。例えば自動車産業でEVを柱に日本の牙城が侵食されつつあります。
なお、今回の対立以前の2024年10~11月に実施され、同年12月に公表された日中共同世論調査によると、中国側で日本に対する印象が「よくない」との回答は、「どちらかといえば」を含め88%に対し、同じ質問への日本側の回答は89%でした。両国民の嫌中・嫌日はほぼ同じレベルです。中国側には根強い歴史問題と福島第一原発の処理水放出が影響したようです。しかし、米中関係の進展や、故安倍首相の「世界を俯瞰する外交」を受け継ぐのであれば、日中関係をこのまま放置しておいてよい筈がありません。親中や嫌中とか言っている場合ではないのです。ところが高市政権では台湾人脈は豊富ですが、中国の現政権とのパイプ役は不在です。この現実をどう乗り越えるか高市首相の手腕が問われます。
■理不尽な事故による犠牲や、著しいモラル(社会規範)の低下:
今年も様々な自然災害や人災がありました。中でも人災はほとんどの場合、何らかの形で「ヒューマンエラー」が絡んでいます。自らの過失ではない理不尽な理由により、尊い命を奪われたケースが目立ちました。その(1)、埼玉県八潮市での道路陥没によるドライバーの死亡(1月)、その(2)、神戸でのエレベーター転落事故死(2月)、そしてその(3)、今月の東京・赤坂でのサウナ火災による夫婦の死亡事故です。
こういった事例から学ぶべきことは、今や我が国の「安全神話」は死語になり、自分の身は自分で護ることが求められることです。また、全体の中のごく一部でしょうが、警察官や教師のモラルの低下は嘆かわしい限りです。我が国は経済的豊かさと引き換えに、「家族の絆」や、古来受け継がれてきた「美徳・倫理観」等、失ったものが多く極めて残念なことです。
■■年末のご挨拶:
本号をもって本年のブログ配信は最終とさせていただきます。来年は1月9日から再開する予定です。この1年間ご愛読いただき誠に有難うございました。時節柄、くれぐれもご自愛の上、輝かしい新年をお迎えになりますよう祈念申し上げます。